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ポルノグラフィティの『グラヴィティ』歌詞解釈してみた

今回はポルノグラフィティの名曲、『グラヴィティ』の歌詞解釈に挑戦したいと思います。


ポルノの歌詞は難解なモノが多いので考察されているファンも多いのですが、自分も興味があったのでここで定期的に発表できればなーと思います。

なお、歌詞解釈というのは人それぞれなので、「絶対こうだ!」とは言いません。
あくまで僕個人の考えということで、各々好きな考えを持てば良いと思います。

この曲は晴一が、作家であるいしいしんじの小説『ブランコのり』にインスピレーションを受けて書いたということで、歌詞解釈の前に本を購入し読破しました。

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

 

 
読み終わってから聴くとグラヴィティの魅力が150%増大されたと思います。
というか、僕が歌詞解釈するより本を読んで貰った方がわかりやすいかも知れません(爆)
本そのもののあらすじや感想は別記事にまとめるつもりです。

まあ、それだとこの記事を書く意味が無いので、本を読んだ上で自分なりの解釈を歌詞の頭から順に書いていきます。

 

 

1番 Aメロ【さあその手を~弧を描き揺れる】

『銀の空中ブランコというワードが印象的な冒頭。
空中ブランコと言えばサーカスの定番演目の1つですね。
アクロバティックな動きをしながら手を繋いだり、飛び移ったりするアレです。

「さあ、その手を離してこっちにおいでよ」というセリフは、情景を素直に想像すると向かい合った空中ブランコで揺れている2名の演者がいて、1人の演者がブランコから手を離してもう1人の手に飛びつく、スリリングなクライマックスのシーンであることが想像できます。

空中で手を離して飛び移る瞬間はとても緊張する場面で、成功したときの興奮は計り知れません。

晴一は『リスクが伴うが成功すれば計り知れない快感が得られるモノ』の比喩として空中ブランコを使っているのでは無いかと考えます。

この状況は様々な場面に当てはめることが出来ます。
・好きな人への告白
・高倍率の志望校への受験
・責任重大なプロジェクトのリーダー
・キャリアアップを狙った転職
等々…

『手を離す』ということは『今手にしているモノとの別れ』も意味しています。
それは物理的な事に限らず、社会的立場や人間関係も含まれています。
「こっちにおいで」と誘っている人物は、リスク承知で挑み成功した側の人間で、飛び移ろうとしている側は失敗を恐れて踏ん切りがつかず、現状にしがみついて揺れている状況ですね。

このブランコの揺れというのは『心情の揺れ』の表現とも解釈できます。
成功するかどうか分からない事に飛び込むことへの迷い、やりたいことはあるけど失敗したときの損失を考えて一歩踏み出せずにいる。そんな心理状態を表しているんじゃないでしょうか。

今後わかりやすく『飛び移ろうとしている人』の事を『主人公』
『誘っている人』の事を『相手』と表現します。



1番 Aメロ2【近づいては離れる~揺れるのはなぜ】

人の気持ちは日々変化します。
仲良しだった人と喧嘩することもあれば、苦手な人のことをいつのまにか好きになっていたりと、自分自身を含めて人は人の気持ちを完全には理解できません。
そんな気持ちを読むことの難しさをここでは書いています。

『あなたの手』に「受け止めて欲しい」と考える主人公。
なのに相手の気持ちがまさにブランコのように『近づいては離れる』事に戸惑い、
自分自身も気持ちを伝えないと何も起こらないのは理解しているのに、心の奥で失敗を恐れるあまりに『1人揺れる』わけです。
やりたいことも、やることも決まっているのに不思議と今一歩踏み出せない。
そういった迷いは誰でも1つ2つは持っているんじゃないでしょうか。

 


1番 Bメロ【私を強く引き寄せる~飛び出していく】

ジョジョ6部でプッチ神父は言いました。
「人と人の間には『引力』がある」と。
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グラヴィティの歌詞はこれと考え方が似ている気がします。『運命の赤い糸』のように、人と人とは目に見えない力で繋がっていて、出会うべき人同士はいずれ引き寄せ会うと考えられています。スタンド使い』は『スタンド使いと』いずれひかれ合う
ブランコが揺れるのも地面から強烈な引力が働いているからで、ブランコで揺れている主人公は「こっちにおいで」と誘っている相手が持っている魅力に心理的に『強く惹かれている』状態を「まるで暗い闇の底に待つ地面に引きつけられているみたいだ」と感じている訳です。

『惹かれる』『引かれる』
同じ音だけど意味は違う。なのになんとなく共通しているように思えるのは面白いですね。

ブランコから落ちて地面に叩きつけられたら大怪我しますよね?つまり飛び出すことは大変な『リスク』であることを、主人公は充分理解しているわけです。
成功者の所へ上手く飛ぶ事が出来たとしても、受け止めてくれないかも知れない、渡った後の世界が望んだ物では無いかも知れない。
それでも「行ってみたい」という意思が上回り、覚悟を決めた主人公は息を呑んで、目を閉じて飛び出していきます。

 


1番 サビ【この体も~両手を広げて】

体も胸もあなたに惹かれている=肉体的にも精神的にも距離が近い事を示しています。
相手が持っている強烈な引力に、見事引っ張られたわけですね。

「迷わずにいけると思う」と続きますが、一体何を『迷わない』のか。ここは2通りの解釈が出来ます。

① 主人公が抱いているあなたへの憧れ、恋心
わかりやすい解釈としてはこっち。
例えば片思いしている相手に告白が成功し、交際関係がスタートしたとします。
片思い中は相手の気持ちがわからず、どう接すれば良いかわからなかったのが、カップルになれた今は相手も自分が好きという気持ちがわかっているので、恋愛感情に対しての迷いが無い。

② 主人公が目指す人生の道
こちらはより深い関係に思える。
主人公には何か目標があり、1人では不安で溜まらず二の足を踏んでいた所を『あなたという帰る場所』が出来たことで『安心して道を進める』と思っているという解釈。
「いける」と行動を示すワードが入っているのでこちらの方が正しいと考えています。

両手を広げるということは全身をさらけ出して『受け止める準備』が整っていると言うことです。これは肉体的な解放だけでなく、心まで開いている状態を意味していると解釈出来ます。

まとめると主人公は「身も心も夢中になっているあなたのおかげで、私は迷わず先に進むことが出来るから、いつでも戻ってこられるように、両手を広げて待っていてね」と願っているのでは無いでしょうか。

 


2番 Aメロ【ねえ 三日月ライトを~落ちてしまわぬように】

当たり前ですが月明かりは照明器具ではないので、本来消えることはありません。それがそっと消えるということは『眠るために目を閉じている』んだと考えられます。

眠るときに『死』『あの世』の事を考えて、恐ろしくなって眠れなくなってしまうという経験はありませんか?
目を閉じると広がる闇の世界。自分以外誰もいない孤独な世界。主人公はその恐怖を少しでも和らげようと相手に「ギュッと肩を抱いててね」とお願いするわけです。

『寝落ち』とも言われるように、眠ることを『落ちる』と表現します。
落ちると言うことはこれもまた『引力』があると解釈できます。

夢の世界へ落ちる時も、1人では怖いのでそばにいて安心させて欲しい甘える主人公の気持ちを表していますね。

 


2番 Bメロ【私を強く~包まれていく】

1番では強く引き寄せる力が『地面』によるモノなのか『相手』が持つ魅力によるなのか、わからなくなっていたのがこちらでは「『確かに』感じられる心の高鳴り」と確証を持っています。自分の肩を抱いてくれている相手の心臓の鼓動を聞いているという事でしょうか。あるいは自分自身の心臓の鼓動が、相手と一緒にいると早く脈打つのを感じて「自分は相手のことを心底好きになっている」と言うことを自覚しているとも解釈できます。

そんな心底惚れた相手がそばにいてくれれば、目を閉じて生まれる闇も怖くありません。
睡眠が『死を連想してしまう恐怖の行為』から疲れた頭と体を癒やす『至福の時間』に様変わりします。それが『この闇は優しいカーテン』という表現ですね。
カーテンは見せたくない物や見たくない物を隠す効果がありますから、身に降りかかった嫌なことや自分の嫌いな部分も『眠りの闇』が一時的に隠してくれる安堵感を示していて、『包まれていく』と進行形になっているのは、意識が夢の世界へゆっくりと落ちていく様子を表していると考えられます。

 


2番 サビ【いつからか~違いは無くて】

個人的に最も解釈が難しかった部分であり、恐らくこの曲最大のテーマ。
そもそも『時間の意味』とは何なのか。
この世のあらゆる存在は時間に支配されています。
『過去』から『未来』という決められた方向へ同時に進み、全てがいつかは『死』あるいは『破壊』という終わりを迎えます。
そして『過去』のどの場面を切り取っても、同じ場面は一切存在しません。時間の縛りの中では常に変化が起こっています。
時間とは『誰も抗う事が出来ない圧倒的に強大な流れ』であると考えます。
それが意味をなくすということは『時間とは無関係の事象』に辿り着いたという事でしょうか?

無関係の事象とはなにか…それは『気持ち』です。
相手を強く想う気持ちがいつまでも変わらないのであれば、それは『時間が意味をなくした』と言えるでしょう。
いつからかわからないのは、いつの間にか心の底から相手の事を好きになっていたからでしょうか。
ここが理解できると、続きの「1秒と1000年の間に違いは無い」と主人公が考えている部分も理解がしやすいです。
ある瞬間から生まれた恋心は、終わりを迎えるまで永遠に変わらない。だからそれが1秒だろうと1000年だろうと意味は無いということですね。

『気持ち』という意味では、『夢や目標に向かって頑張る』という『気持ち』もコレに当てはまるかも知れません。
『夢や目標に向かって頑張る』時って、寝食も忘れて没頭している事がありますよね?その状態も『時間が意味を無くしている』と言えるのではないでしょうか。

 


Cメロ【永遠で無くてもいい~それさえ愛したい】

僕は『愛』とは『真摯に向き合うこと』であると考えます。
人生には限りがある。だからこそ一生懸命活動している時の生命の輝きは美しい。
生きていると良いことも悪いことも起こります。それら全てを真剣に受け止め続け、泡になって消える=死ぬ瞬間「満足な人生だった」と納得して逝けるようになりたいと主人公は決意しています。
死ぬのは誰でも怖いはずなのに、消えていく瞬間「それさえ」も愛したい。
それが出来る人間は自分を愛し、世界を愛し、後悔しない生き方を選択し続けられた人だけです。こんな生き方が出来る人、滅多にいないんじゃ無いでしょうか。

 


ラスサビ【この身体も~私はここに~違いは無くて】

身も心もあなたに夢中であることを自覚しましたね(笑)

1番サビで解釈した「身も心も夢中になっているあなたのおかげで、私は迷わず先に進むことが出来るから、私がいつでも戻ってこられるように、両手を広げて待っていてね」が表現を変えてここで生きてきます。
『手を鳴らして呼ぶ』のは『相手が主人公のことを必要としている』から起こす行動なので『両手を広げる』=『受け止めるだけの立場』だった関係に変化が生まれていますね。
そして主人公は呼ばれたら「私はここに(生きている)」と高らかに宣言するわけです。そして最後に2番サビを繰り返すことで『どれだけ遠くに離れても、あなたを想う気持ちはずっと変わらない』というを強調して締めくくられます。

曲自体もラスサビはコーラスがメインメロディを歌って昭仁は「ウォンノーォ」とか「オオォー」とか「ヤーイヤーイヤーイヤーイヤー…」とか好き勝手(?)歌うという一風変わった手法が使われていますが、それは曲を壮大に締めくくるアレンジの一つの手段というだけでなく『ボーカルがどれだけメロディを外れていっても愛すべきコーラスがいるから安心して自由に歌える』という表現になっていると考えると、より味わい深くなる気がしますね。

 

 
いかがでしたでしょうか?

アルバムのラストを飾る曲だけあって『時間』や『人生』といった非常に壮大なテーマを扱った曲でしたね。
一部分だけを捉えれば『恋心に揺れる主人公の心理描写を書いた恋愛ソング』とも解釈できますが、それだけじゃ無い魅力がモリモリ隠されているのがポルノの歌詞の良いところですね。

元々好きな曲でしたが、今回考察を重ねたことでグラヴィティが更に好きになりました。
聴いたこと無い人は、アルバム『mーCABI』を是非聴いてください。


そしてハマってください。

m-CABI (初回限定盤)

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※他にも歌詞解釈やって欲しい曲があればツイッターやコメントでリクエストしてください。