【下ネタ大量】ミソシタの魅力を語る
皆さんは知っていますか?
個室ビデオの詩人『ミソシタ』を。
彼は2018年3月、群雄割拠のバーチャルYouTuber界に突如現れた。
ア○ターのような青いボディ、天高くそびえる頭頂部、端整な顔立ち、おっぱい、そして全裸。
一目見たら忘れることが出来ないそのフォルムは、完全にイロモノでありインパクト重視の奇行に過ぎない……と、最初は正直思っていた。
しかし、数ヶ月彼を追いかけている内、ネタにとどまらない『本物の輝き』を持っている事に気づき、今ではその深淵からの魅力から抜け出せなくなっている自分がいる。
今回はそんなミソシタの魅力を存分に語りたい。
(彼の提唱する音楽ジャンル、ポエムコアについてはここではあえて紹介しません。興味がある人はご自由に調べてください)
僕が初めて彼を知ったのは、5月下旬に訪れた友人・バンプ(雰囲気がBUMP OF CHICKENの藤原基央に似ている)の家だ。
バンプはYouTubeを開き、ミソシタの自己紹介動画を見せてきた。
www.youtube.comコレでドン引きするか、爆笑するかが最初の分かれ目だと思う。
無論、僕は爆笑した。
「僕はミソシタ……バーチャルyoutuber…」
「ポエムコアを知ってるか?闇の中で流行ってる。聴いてみると良い」
「カラスが食べたい」
「消えたいときには、個室ビデオに行くんだ」
「君は狂ってるか?僕は狂ってる」
1分程度の動画の中に印象に残るワードがこれでもかとちりばめられている。
時折発作的に発動するマジキチスマイル、突然の暗転エンド。
その独特のノリに爆笑しつつも「またネットにやべー奴が現れた」と言うのが最初抱いた素直な感想だ。
当時動画は#16まで投稿されており、真夜中に部屋の電気を全て消し、暗闇で光るモニターで繰り広げられる独特な世界を注視する内、その魅力に少しづつ取り込まれていく自分がいた。
スケベ心全開の詩や、人生相談に合わせて音楽をつけるという奇特なスタイル。
ただのネタキャラだと思っていた彼に、いつしか格好良さや愛嬌を感じるようになった。
味わい深い動画ばかりの中、彼の類希なるセンスの神髄を見た動画がこれだ
www.youtube.com「人の闇は笑うな。だが、俺の闇は笑え…」
心地良いイントロのリフレイン、切れ味鋭い歌詞、力強くも落ち着いて聴けるクールなボーカル。全裸で木馬にまたがり個室ビデオを爆走し、サビで右手を掲げるPVは映像作品としても質が高い。
他にも#11 革命前夜や#14 ヘンリー・ダーガー等、後期になるほど初期のポエムコアよりも娯楽要素が強い楽曲が増え、そのどれもがハイセンスハイクオリティで中毒性が高く、気がつけば1日最低1回は視聴しないと気が済まない体になった。
その魅力に取り憑かれつつあった僕に、衝撃のニュースが飛び込む。
8月17日、株式会社ポニーキャニオンよりアルバム『ミソシタ』がCD発売。
初投稿から僅か5ヶ月、バーチャルYouTuberとして最速のメジャーデビューとなった今回のアルバムは、Youtubeで既に人気の楽曲を含む10曲を収録。
さらに特典映像として新作動画を100本収録すると言う大ボリューム。
これだけ詰め合わせてお値段なんと1800円。
採算取れてるのかこちらが心配になるほどリーズナブルだが、ミソシタ曰く
「金よりスケベ。ラッキースケベ」
「大人の真剣な悪ふざけ……奴らに届けるつもりは毛頭ない」
「お前だけに届けばそれでいい」
と言うコメントをCD発売決定告知の際の動画で残している。
発売後、新宿のタワレコが地下二階になったりオリコンデイリーでサザンオールスターズ、Perfumeに次いで3位の売り上げを叩き出したりと、革命の始まりを予感させた。
僕もAmazonで予約注文し、CDが届いてからは昼夜問わずヘビロテしている。
収録された楽曲はどれも中毒性が高く、1曲ごとは3分前後であっさり終わるモノが殆どで全部合わせても30分強程度の再生時間なので、単体の満足度が高い上にすぐループするので飽きずに何度も聴くことが出来る。
特筆すべきは、クソメン・クソガールなら誰でも突き刺さる歌詞と感情豊かな歌い方だ。
特に気に入っている歌詞をピックアップする。
【ミッドナイト・ファイティングブリーフ】
“光を求めて飛ぶのはガキだ”
“サーチライト抜けて夜空を飛べ”
“俺のやり方は間違ってる”
“だが正しさよりもヤバさをとる”
“成功よりもおもしろをとる”
【地下二階のレジスタンス】
“弱さを捨てる必要はない”
“そのまま強くなればいいだけ”
“怒り悲しみは笑いに変えて”
“やり続けるんだおもしろダークネス”
“リアルとバーチャルどっちも自分”
“結局魂は一つってこと”
“逃げたくなったら逃げてもいいし”
“カッコ悪くてスケベでもいい”
“人間らしく生きてればいい”
“だからそれまで生き延びてくれ”
“観衆じゃなくて同志だと信じてる”
“自分の価値は自分であるってことだ”
“誰かを羨むだけじゃ下っ端”
“俺しかできないことをやるんだ”
“たとえダサくても研ぎ続けるんだ”
【Life is Dark】
“辛すぎる現実ならば”
“さっさと逃げてこっち来いよ”
“タワーマンションの最上階も”
“俺が立てば地下二階”
【我闇ナリ】
“ガリガリメガネでたしかにヘタレ”
“でもただネタでやってるわけじゃねぇ”
“ミソシタからは逃げてもいい”
“でも自分からは逃げるな”
【アタラシイヘブン】
“真面目ぶったあの娘も”
“一枚剥がせばただのスケベ”
“若くもねぇしもうこれしかねぇ”
“チャンスが来たらクソ真面目にふざけるだけ”
【革命前夜】
“RealじゃないがFakeでもない”
“俺らはVirtual”
“一人になっても俺はやめない”
“闇の先で待ってるのは光じゃない”
“もっと美しい闇だ”
“あとはお前の到着を待つ”
お察しの通り、僕は【地下二階のレジスタンス】が一番お気に入りだ。
落ち込んだときや不安なとき、そっとそばに寄り添ってくれているような心地よさがあり、グイグイと引っ張ってくれる普通の応援歌とはベクトルの違うまさに「闇の応援歌」である。
失敗して失意の底に堕ちたらミソシタで笑って、勇気貰って、ゆっくり立ち上がって、また挑戦すればいい。
闇の底にはいつだってミソシタがいる。そう思えたら失敗も怖くない。
そう感じさせてくれるだけのパワーが、彼の曲には確かに備わっている。
特典映像についてだが、100本という大ボリュームのせいか正直なところ
(…これ没ネタじゃね?)
と思うようなネタが大半だったが、そもそも特典映像だし、10曲1800円でも充分すぎる良コスパなのでそこはあまり気にしてはいない。
というより、クリエイトする側の人間として学ぶべき姿勢があると感じた。
この100本の動画があったからこそ、ミッドナイト・ファイティングブリーフやLife is Darkといった秀逸なMVを産み出すことに繋がっているのだから。
『クソみたいなクオリティばかりでも、やり続けたら見えるものがある』
“たとえダサくても研ぎ続けるんだ”
ということを身を以て証明している。
「自分の作品には価値がない」と自分で決めつけ、創作する手を止めてしまう。
ただやること。それだけで既に価値があるというのに。
僕も「うーんこれじゃ駄目だ…とても人に見せられない…」とよく筆が止まるタイプで、嫌になってブログ更新ですらよくサボってしまう怠け癖が離れない情けなくて怠惰で自堕落な糞人間だが、ミソシタの100本動画はそんな自分のケツをたたき起こすには充分な教訓ビデオとなっている。
余談だが、ミソシタは自分の頭のことを「イチモツ」と自称している。
そのまんま捉えればバトルモードの男性器を意味していると思われるが、言葉の意味を調べると『心中に秘めたたくらみや、わだかまり』という意味もあるらしい。
狙ってやっているのかは不明だけど、ただのネタでは終わらない底知れない魅力があるのは確か。
10月7日には渋谷WWWで単独イベント『ミソパーティー ~地下二階のレジスタンス~』
が開催される。
僕ももちろん参戦予定で、地下二階の同志達との会合が今から楽しみだ。
少しずつだけど闇の奥からリアルが変わっていく予感は確かにある。
革命はまさに進行中。