何でもいいから、500円くれよ!!

日記・好きな事の考察や感想・オリジナル小説等を書いていきます。

500円おじさんのラーメン探訪シリーズ③『満珍軒 竜美丘店』

ラーメン探訪シリーズ第3弾でございます。

 


No.3【満珍軒 竜美丘店】

 


今回紹介するのは愛知県岡崎市にあります中華料理店『満珍軒・竜美丘店』
東岡崎駅から徒歩約15分の所にあり、昼飯の為にふらりと立ち寄りました。

高級中華っぽい外観とは裏腹に僕好みの庶民的な内装。(写真失念)
平日の13時くらいに入店したのですがお客さんは少なめでゆっくり落ち着けました。
4人がけと6人がけのテーブル席が3、4セットあったので、夜は大人数で宴会とかやってそうですね。

 

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頼んだのはラーメン半炒飯セット 800円税込み

麺はぷりぷりした食感の細縮れたまご麺。
醤油味のスープはあっさりしつつもコクがあり奥深い味わいで次々すすりたくなります。
具はほうれん草、チャーシュー、メンマの3種類。
ほうれん草は苦みがなくシャキシャキとした歯ごたえが良いアクセントになっており、チャーシューは厚みのわりにしっかりした噛み応えで「肉を噛んでる」感が見た目以上にあります。めんまも味が良くしみていて美味しかった。

セットの炒飯は何の変哲もない王道の炒飯。
風味がとてもよくジューシーな焦がしチャーシューが満足度大!
あと食べた後の口に残る味が妙に旨かったです。

デザートの杏仁豆腐にはパインが入っており、脂っこくなった食後の口をすっきりさせてくれます。

結構ボリューミーで味も良く、これで800円ならコスパ相当良いと思います。
お店には他のメニューも豊富なので、今度立ち寄ることがあったらラーメン以外のメニューも挑戦したいですね。


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お店の情報

店名…満珍軒 竜美丘店

住所…愛知県岡崎市東明大寺町16ー4

TEL…0564-25-2964

営業時間…昼間 11:00~14:00
     夜間 17:00~21:00

定休日…毎週月曜日
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プラットホームで起きたプチ事件

本日2本目の記事です。

元々別に用意していたネタがあったんですけど、数時間前にちょっとした事件が起こったので割り込みでリアルタイムな更新です。

 

 


本日は所用により名古屋の方へ出かけていて、23時頃に東京へ戻ってきたわけですが、大宮方面行きの京浜東北線へ乗車して「ドアが閉まります」のアナウンスが入り、警告音が鳴り始めていたときにそれは起こりました。

 

 


電車に重たい何かがぶつかった鈍い音が響きました。

 

 

何が起こったのか混乱する車内とざわめくホーム側の人々。僕は車内のドアから3歩ほど離れた位置に立っており、最初は「ポイ捨てしたゴミでもぶつかったんだろう」ぐらいに思っていたんですがどうも様子がおかしい。電車は中々発車しないし、1カ所に大人達が集まってきて「大丈夫か!?」「しっかりしろ!」等と声をかけています。

何が起こったのか気になりすぎて野次馬根性全開でドアから顔を出して見ると…





自分が乗ってる電車の車両とプラットホームの間に中年男性の体が7割ほどはまって動けなくなっていました。居合わせた男性4人で救出活動をし、1人の女性は緊急停止ボタンを押して駅員を呼んでいます。

なんとか引き上げられた男性ですがピクリとも動きません。
「え、どうなってるの?…もしかして…」という空気が周囲に漂います。

3分ほど駅員が賢明に声をかけ続けた結果、男性は意識を取り戻しフラフラと立ち上がり「自分で歩ける」アピールをしましたが、大事をとってか駅員に肩を借りてどこか(おそらく医務室)へ連れて行かれました。

その後何拍かの間があってドアが閉まり、電車は走り始めます。
車内アナウンスでは「線路の安全点検のため、緊急停止しました」と放送されていました。

突然倒れた男性ですが、彼の体には一体なにが起こったのでしょう。
酔っ払い?持病?過労?睡眠不足?原因は定かではありませんが、人間誰しも卒倒する可能性は有り、もしかしたら自分にも起こりうるかもしれない。しかも今回はたまたま止まっていた電車にぶつかったから良いものの、もしもタイミングが悪ければ……と思うと嫌な想像を拭えません。

 


少しでも体がふらつくと感じたら、素直にその場に座ってでも休憩した方が良いですね。








 

 


まあこの事件最大の謎は、倒れただけで電車とホームの間わずか20cmの幅にどうやって入り込んだのかという事ですけどね。ホームに出ていた部分は頭と右肩のみで、残りは電車の下にすっぽり収まっていましたからね。

非日常という欲

子供の頃、親に欲しいものをねだっても中々買ってくれなかったことありませんか?

そういうとき僕は「なんてケチな母親だ!こんなに頼み込んでいるのに、きっとウチがビンボーだから買ってくれないんだな。欲しいものもすぐ買えないなんて、なんて家に生まれちまったんだ畜生!」なんて思っていました。

今回はそんな少年時代に感じていたフラストレーションと和解できるかも知れないと思った話です。

 


既に2日前ですが、人生で28回目のクリスマスを過ごした際に「なんか年を重ねる毎に『クリスマスというイベントそのものの特別感』が薄れてきたなぁ」と感じました。
子供の頃はクリスマス直前くらいで学校が休みになるって言うのもあると思いますが、つかの間味わえる非日常に連日ドキドキワクワクしていた気持ちを覚えています。

普段滅多に食べられない美味しい料理と、ずっと欲しくてたまらなかったプレゼントを貰って大喜び。毎年次のクリスマスには何が起こるんだろうと胸を踊らせていました。

しかし、だんだん大人になってくるとクリスマスに仕事をすることも珍しくないですし、財力という魔物によって別にクリスマスでなくても欲しいものは手に入るし、美味しいご飯も定期的に食べることが出来てしまいます。

子供の頃には非日常だった事が、大人になると当たり前に思えてしまう事が恐ろしいです。いい歳した大人が少しでも非日常を味わおうと思ったらより良いレストラン、より良い物を手に入れ続けなければなりません。

 

『非日常への欲求』はまるで麻薬のようです。

 

僕はあんまり物欲がないのでそれほど高価な物を手に入れようとは思いませんが、衝動的に欲しいと思ったときに金があれば、即時手に入れてしまいます。
このいつでも手に入る状態というのが、非日常のワクワクが減退する原因ではないかと考えます。


我々は常に新しい感動、刺激を求めて生きていると言ってもいいです。

 

しかし、どんなことだって初体験の感動を越えることは出来ません。
景色、恋、料理、創作物 etc…


そして感動や刺激に完全に鈍感になってしまったとき、心は死んでしまうのかも知れません。

ということで、長い人生生きていくうえで沢山の感動や刺激を得続けるためには、普段はなるべく節制した生活を送った方が良いのだなと思い、今なら無駄遣いさせなかった母親の気持ちが少しはわかったような気がするという話でした。

クリスマスの『X』ってなんだよ

世間ではクリスマス・イヴまっただ中ですね。
24日の夜という最も盛り上がる時間帯に僕はバイトに行くわけですが、25日は休みなのでクリスマス気分がギリ消えないうちに楽しむことが出来そうです。

ということで今日はクリスマスの素朴な疑問の話。

クリスマスの綴りってChristmasじゃないですか?
でも略称として『Xmas』あるいは『X'mas』と表記されているパターンもありますよね?

Xはどこからやってきたの?

まあそんなことはウィキペディアを調べれば簡単にわかることなんですけどね。
便利な世の中になった反面、調べがいがないなぁと残念な気分になったりもします。

 


そもそもChristmasというのはChrist(キリスト)+mass(マス=ミサ)が由来で『キリスト降誕を記念する祭日』という意味があり、単純なキリストの誕生日ではないらしく、実際の生まれた日付には諸説あります。
ではなぜクリスマスが12月25日なのかというと、かつて古代ローマに存在したミトラ教冬至の祭から転用したと言われているそうです。

クリスマスツリーやプレゼント、ど派手な電飾の由来については割愛。

Christはギリシャ語では『Χριστός(Christos)』と表記され、その頭文字であるΧ(ケー,キー,カイ)と形が似ているラテン文字のX(イクス,エックス)をChristの省略形として用いているそうです。

 

Christmasと表記するよりもXmasと表記した方が収まりが良いので商品のポップや広告にでよく見かけますね。ただこの省略文化が日本古来のものかと思いきや、数百年前からChrist=Xと省略する文化はあったみたいですね。
この『Christを省略するという行為』が宗教的に気に入らない人がいたり『X'mas』のアポストロフィは誤用だとか細かい話はありますが、どう感じるかは人それぞれ。歴史と伝統を重んじる人もいればお祭り気分でみんなハッピーに過ごそうぜ!という気持ちな人もいる。それで良いんだと思います。

キリストさんも聖人だし「細けぇコトはいいんだよ!」って言ってくれますよ。

僕も大切な人に普段出来ないプレゼントや感謝の気持ちを伝えて、明るく楽しくそれぞれ過ごせば良いと思います。




…ところでΧといえばあの人の事を思い出しませんか?









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そう、草下雅人(仮面ライダーカイザ)です。




君たちが無事にクリスマスを過ごせるのは誰のおかげかなぁ?

 


ヒィッ!

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聖夜を性夜にするリア充共には

 

 

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ゴルドスマッシュによる制裁を。

 

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ギャアアアアアアアアアア!!!!(サラサラサラサラ....)

 

 

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カイザさん超COOL。

 


(オチが無理矢理過ぎてすみません…仕事行って来ます…)

仮面ライダージオウ 第16話感想

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ソウゴ、ベルトを破壊!?

 

【あらすじ】
オーマジオウとなり、世界を破滅させる。
そんな最悪の未来を変える為、ゲイツにベルトをぶっ壊させるソウゴ。

王様になる夢を諦めた彼を徹底的に始末しようとタイムジャッカーが襲いかかってきた。
ソウゴが魔王にならなくなった事で未来へ帰ろうとしたゲイツツクヨミの2人はソウゴが襲われている事を知り助けに向かう。

タイムジャッカーが操るカッシーンの攻撃を変身もせず受け止めようとするソウゴの後ろには、巻き込まれた子供がいた。
その姿を見て、ゲイツはソウゴが悪い魔王にならない事に賭けてみたくなり、自らのベルトを渡す。「魔王になって世界を救う」決意を新たにしたジオウはゲイツと共にカッシーンを撃破、仮面ライダーディケイドも撤退させるのだった。

【感想】
いやぁ熱くて良い話でしたね~。

身を挺して人を守るという、ヒーローらしい姿をソウゴ君が見せたのは良かった。
その後のゲイツのベルトを渡すシーンも熱い。

 

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「お前は最高最善の魔王になると俺に言った。だったら問題ない。
最低最悪の魔王になったら、俺が倒してやる。必ずな」

友情とは違うけどゲイツがソウゴを認め始めているのが感じられるのが良い。
でもだからこそ、終盤ほぼ確実に対立する展開になりそうなのが既に哀しい…。
親しい人が悪に堕ちたら迷いながらも倒さなくてはならないという話には弱いですね~絶対泣いてまう。

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ダブルアクションXで戦力増加はなるほどと思った。


【気になったところ】

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勘違いしてた…まだ動いてなかったのね

 

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ナイスタイミング&コントロール

 

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走りながら変身かっこいい

 

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はしごw

 

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イグアナ!

 

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こいつは一体…?

 

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更に仮面ライダーウォズ!?


注目の新展開、来週が楽しみですね!

今年の振り返り&来年の目標

後1週間で今年も終わりますね。

本当に今年は公私ともにいろいろなことがありました。
今回は今年の主な出来事を1月から振り返っていきたいと思います。

【1月】
・香川で久々にあった友人の家で年越し
・すさまじい大雪でマンションの階段が坂になる

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・冬季恒例ディズニーランド(6年連続)

【2月】
・5年振りくらいにインフルエンザ発症
ブログ開設
・諸々熟考して退職を決意
・人生初、心療内科を受診
・大阪で同窓会

【3月】
・カメレオン・レンズの衝撃
・懇意にしていた中華料理屋、梨園営業終了(;。;)

【4月】
神宮球場で野球観戦(負け…)
・新人が来た!
・漏水事件発生
・5年振りに知人と会う
・仕事最終日

【5月】
・歓送迎会
・久々に会社の元先輩達と会う
・会社の元後輩達と会う
ipadデビュー
・人生初の猫カフェ
友達100人できるかな?』連載開始
チップチューンイベントに初参加
・ミソシタの存在を知る
・VSパークで最新の遊びに触れる

【6月】
・人生初ゲームカフェ
・学生時代お世話になった会社の社長に会う
・山口に引っ越した友人に会う
・人生初沖縄で学生時代の後輩に会う
退職日と誕生日を同時に迎える
・名古屋旅行
・パソコン新調

【7月】
・東京ドームで野球観戦(負け…)
友達100人できるかな?』完結
ポケモン映画鑑賞
・ライラの衝撃

【8月】
・専門学校時代の知人の協力により、新500円硬貨コンプ達成(笑)
コミケでミソシタグッズ買う
・六本木のジョジョ原画展へ行く
・senoコインゲット

【9月】
しまなみロマンスポルノ目前で雨天お預け(;。;)
仮面ライダージオウ 放送スタート
広島東洋カープ3連覇達成!
・自宅から花火鑑賞

【10月】
・渋谷でミソシタライブ参戦
ブログ10000PV突破
・ポルノライヴビューイング参戦
・北海道旅行
・M3売り子体験

【11月】
工場バイト開始
・箱根旅行

【12月】
・ショートストーリーシリーズ開始
・ポルノで年越し(予定)

いやぁ~濃いですねぇ~
27年間の人生の中でトップ3に入る濃さですよ。
他で候補が挙がるとすれば2003年とか2010年とか2012年ですね。

今年初めの自分は年末までにこんなにいろいろやって、生活環境も大きく変わるとは想像もつかなかったでしょうね。

個人的な今年の漢字を表すなら『立』ですかね。
本当の意味で社会的、精神的に自し、自分の目指す道へのスタートラインにてたかなというのと、いろいろな場所にち寄ったりしたので。

ブログも更新が滞る期間もありましたがなんだかんだ10ヶ月やり続けてきました。
文章を書くスピードもだんだん上がっていると感じられます。

来年の目標としては、もっと設定や世界観をつくりこみつつ語彙力、表現力をつけてそれを自然に感じさせるような上手い文章のオリジナル小説を書いて、それで賞を取りたいですね。

ともかく、自分だけが体験できる自分の人生というゲームを楽しむことを前提に、来年も邁進していきたいと思います。

 


今後も我がブログ『なんでもいいから、500円くれよ!』をよろしくお願いしますm(._.)m

ショートストーリー『青春の残り香』

 

今回は初のジャンル『恋愛小説』を書いてみました。

中々こっぱずかしい表現を多用していますし、ネタ自体もベッタベタに使い古されたありがちなやつです。

 

恋愛モノはとても難しいなぁと痛感させられましたが、良い練習になりました。

書いてよかったと思います。

 

 

ではどうぞ!

 

 

 

 

ある晴れた土曜日の昼下がり、新宿でショッピングを楽しんでいた私は、靖国通りを曙橋方面に向かって歩いていた。欲しかったお気に入りブランドの新作バッグも買えたし、そろそろランチでも食べようかなぁ…なんてことを考えていたら、後ろの方でタイヤがスリップしているような音が聞こえてきた。
振り返えると、暴走したワゴン車が私に向かって突っ込んできていて、それが不思議とスローモーションのように感じられたから私、心の中で(あ、終わった)って思ったの。実際には一瞬過ぎて何も考える余裕はなかったんだろうけどね。
車が体をはね飛ばす前に、私は横から別の何かにはね飛ばされた。歩道に乗り上げた車は雑居ビルのブロック塀に突っ込んで止まった。
周囲で感嘆と驚愕が入り交じった叫び声があがっている。何が起こっているのか理解できていない私が目を丸くしてその場にへたり込んでいると、1人の男性が近づいてきて私に手を伸ばしてきた。

「あの…大丈夫?怪我はないですか?」

男性の指は、女の私が嫉妬しそうなほど細長くて綺麗だった。そんな繊細な手を借りて、ようやく立ち上がった私は膝を擦りむいていることと、手に持っていたはずの伊勢丹の袋がどこかへ行っていることに気づいた。辺りを見回すと事故現場を行き交う人に踏み荒らされている紙袋が見え、ボロボロになって穴が開いた所から買ったばかりのバックが見える。

「ああ…新作がっ…」

こんなに周りが騒がしいのに、私は自分の楽しみが台無しになってしまったことが一番のショックだった。

「膝、擦りむいてますね…これ使ってください」

傷心の私に向かって男性は紺色のハンカチを渡してきて、それを受け取ったときに初めてまともに男性の顔をみた。

「あ、ありがとうございます…ってあれ?知樹…くん?」

「ん………?まさか、梨子…?」

それは中学時代の元彼、井上知樹だった。

本格イタリアンが食べられる喫茶店に入った私たちは、ランチを食べつつ昔話に華を咲かせている。あのまま現場にいたら、警察が来て事情聴取とかされると面倒だし時間がもったいないなと思い、大騒ぎしている間に知樹を連れて抜け出してきたのだ。

「それにしてもバッグ残念だったね」

知樹は苦笑いでコーヒーカップを揺する。

「知樹くんにひさびさに会えたから、プラスだよ」

そう言って一応はにかんでみせたけど、頭の片隅では(54000円…)と諭吉様が飛んでいくのがイメージできた。

知樹は地元の会社に就職していて、たまたま東京へ出張に来ていたんだそうだ。来週には地元へ帰るらしいけど、なにやら浮かない表情。事情を聞くと「まあ色々あってね」とはぐらかされてしまう。
私は高校を卒業してから東京の専門学校へ進学し、そのまま東京の服飾関係の会社へ就職した。私たちが付き合っていたのは中学3年の夏から卒業までの9ヶ月くらいで、卒業式の日に『高校が違うとお互いの時間が合わせづらくなるだろうから』って理由で別れた。その時に知樹は私にかっこいい約束をしてくれたんだけど、覚えてくれているかな?

「ピアノはまだ弾いてるの?」

カップを口元へ運ぶ指先を見つめながら尋ねる。知樹は幼い頃からピアノを習っていて、私を家に呼んではクラシックからJーポップまで色んな曲を演奏してくれた。

「…いや、高2で辞めたよ」

彼の目が曇った。深く聞かない方が良さそうな感じ。

「そう…なんだ。えと、ごめんね?」

「いや、いいんだよ。昔の話だからさ…あんまり上達しなくなったし、将来の役にも立たないから…ねぇ?」

その言葉が私は軽くショックだった。やっぱり約束は覚えてくれていなかったのか…。

「残念、もう一度聴きたかったな。知樹のピアノ」私はぽつりと呟く。

音楽のことはよく知らないけど、知樹には才能があったと思う。全国的なコンクールで入賞していたこともあったし、彼の演奏には感情が乗り移っていると聴く度に感じていた。
2人の間に気まずい空気が流れかけたので、私は気分を変えようと手を叩いた。

「ねえ、遊びに行こうよ。久しぶりにパーッと!」つとめて明るい笑顔を作る。

来週帰っちゃうなら、少しでも2人一緒にいたいからね。

知樹は最初遠慮していたけど「命の恩人へのお礼だから」と半ば強引に連れ回した。
買い物に付き合って貰ったり、食べ歩きしたり、映画みたり…喫茶店で話をしていた時よりも中学時代の初々しい思い出が次々と蘇ってきた。私は高校から今まで、5人の男性と付き合ったけどやっぱり知樹が一番良いと改めて思った。一緒にいて楽しいし、落ち着くし、私の全てを見てくれるというか…とにかく全ての相性が良いなって感じがする。知樹の方も、さっきよりも笑ってくれたりいっぱい話しかけてくれるようになったから、一緒にいて楽しいと思ってくれてると思う。

遊びながら、私は告白出来るチャンスを伺っていたけど、なかなか言い出すきっかけが掴めない。何度も恋愛は経験してるのに、しかも一度付き合った相手なのに…。結局夜ご飯で入った居酒屋でも随分出来上がっちゃって、もういつお開きになってもおかしくない状況だった。
知樹は腕時計を見て「そろそろ終電、大丈夫?」と訪ねてきた。ここで帰ったら駄目だぞ、私。

「…あー、そうだね。そろそろ帰ろっか」

ってバカー!

居酒屋を出て、駅へ向かう道のりをゆっくりと歩く。知樹は居酒屋で途中だった話題の残り火のような物を消化させようと必死に話しかけてくる。私はそれに合わせて頷いたり、返事したりしてたけど頭の中では(これじゃ駄目だ、ちゃんと言わなくちゃ)って気持ちでいっぱいになっていて、正攻法はもう取れそうにないなと思ったから酔った勢いに任せて大胆な行動に出ることにした。いきなり知樹の腕に手を回し、体を密着させ頭を肩によせて

「ねえ、疲れたから…ちょっと休もう?」と囁く。

「ええ?オイオイそれって…」

うろたえる知樹をお構いなしに、私の足取りは大通りを外れてホテル街へ向かっていく。

「いいからいいから、少しだけ…ね?」

頬を赤らめたにやけ面で艶っぽい声を出す。昔よりは少しくらい色っぽくなったかな?

知樹がシャワーを浴びる音が響く。先にお風呂に入った私は用意されたバスローブをまとって大きなベッドの上に正座していた。

(あーどうしよどうしよどうしよどうしよ!)

両手で覆った顔がとても熱い。勢いに任せてここへ来ちゃったけど、シャワーを浴びたもんだからちょっと酔いが覚めてしまった。でもせっかくのチャンス、逃がすわけにはいかない。そろそろ結婚したいと考えていたし、それには知樹が最もふさわしい相手だと本気で思う。地元に帰って知樹と幸せな家庭を築いている妄想が無限大に拡がっていく…。ちなみに私たちは、中学までの付き合いだったから男女の関係はない。そのせいかな?ちょっと過剰に緊張している気がするのは。

「あれ、起きてたの?疲れてるって言ってたからもう寝ちゃったかと思った」

タオルで頭を拭きながらバスローブ姿の知樹が出てきた。ここまで来て先に寝るとかありえないでしょ!って言いたくなったけど実際の私は「うん、なんか目が冴えちゃって…」と頭をポリポリ掻くだけだった。

「まあ今日いろんな事があったからね。興奮して眠れないんだろうね」

そういって知樹はバスルームへ戻っていき、今度はドライヤーの音が聞こえてきた。
私はベッドの中に入り込み、胎児みたいな格好で毛布にくるまる。心の中で覚悟を決める。絶対決めてやるって決意を固くしていく。告白のセリフを何パターンか考えていると、背中の毛布が拡がり知樹が入ってくる感覚があった。

「ごめんね。横、失礼するよ」

彼はなるべく近づかないようにしているのか、私に背を向けてベッドのギリギリ端に寄っている。どういうこと?もしかしてチェリーなの?いやそれにしては入るまでの手際は良かった…じゃあ私に魅力がないって事?そんなぁ…。

悔しくなった私は、中学の時よりずっとたくましくなった背中にそっと身を寄せた。

「おい、梨子…」

彼は首をこちらへ向けつつ身じろぐ。逃がさない様に、今度はギュッと全身を押しつけるように抱きしめる。

「……私、成長したでしょ?大人になったでしょ?」

広い背中に耳を当ててみると、かすかに心臓の鼓動が伝わる…温かい。

「ああ、凄く…魅力的になったよ」

彼は背を向けたまま、無愛想気味に答える。

「だったら!」

半ば無理矢理、憧れの背をベッドに押し倒し私はその上に乗った。

「もっと私のことちゃんと見てよ!」

まじまじと見つめ合う。吸い込まれそうな彼の目はあの頃と変わらない形をしているけど、瞳の奥にはあの頃の輝きはなく、どこか哀しげだった。勢いに任せて顔を近付け10数年ぶりの口づけを交わす。歯磨き粉のミントが香る。
何拍かの濃密な沈黙が過ぎて2人は一度離れる。知樹は顔…いやそれ以上に、目を合わせないようにしていた。口を固く結んで渋い表情をしているのをみて、とても哀しい気持ちになる。

「私たち………やりなおそう?」

でももう止まれない。自分の気持ちを最後までさらけ出したい。

「今日一緒にいて、とも君がやっぱり一番だって思った。とも君が良かったら…私仕事辞めて、地元に帰るから、一緒に暮らそうよ。私たちお似合いだよ?」

上手く伝えられる自信はないけど、あの時からのもやもやした気持ちも上乗せして、出来るだけ振り向いて貰えるように頑張った。

「ねえ?とも君はどうだったの?一緒にいて楽しかった?」

「うん…とっても、楽しかったよ。だけど…」

知樹は顔を逸らしたまま、歯切れが悪そうに口をもごもごさせている。

「ならどうして?なんで私を見てくれないの?」

もう一度キスをしようと知樹の顔を両手で抑え、唇を近付けていく。すると彼は強引に手を振りほどき、激しく起き上がったので私の馬乗り状態も解除された。

「…………………………だよ」

重い沈黙の中、知樹はボソッと何かを呟く。

「え?」聞き取れなかった私は、背ける彼の顔を必死にのぞき込む。

「…結婚してるんだよ、俺」

私の足下から、何かが崩れ去った。

「3年前に大学時代から付き合っていた人と結婚したんだ…もう子供もいる」

今度は私が彼の目を見ることが出来なくなっている。

「出張前に喧嘩したまま出てきてさ、むしゃくしゃしてたってのもあるけど…なにより久しぶりに君と会えたのが嬉しかったから、今日の昼間は魔が差したんだろうね。でもここにきて家族の顔が浮かんできてさ…やっぱりこういうのは、よくないよ」

「そんなの…言わなきゃわかんないのに」

自分が間違えていることはわかっているけど、俯いてふてくされる。

「ごめん。でも逆の立場だったとしたら、君は嫌でしょ?」

それはそうだけど…そうじゃないの。私は貴方を独り占めにしたかった。それなのに初めから居場所すら用意されていなかったなんて…それが悔しくてたまらない。

「俺たちはあの時、すれ違ったままもう戻れなくなったんだよ」

もう…もうわかったから。それ以上言わないで。壊れちゃいそう。

「…ねえ…あの時の約束、覚えてる?」

私は残された最後の疑問を聞くことにした。

「………」知樹は黙ったまま、目が泳いでいる。

「『将来ピアニストになって海外でも演奏出来るくらい上手くなったら、私を迎えにくる』って。あの約束は破るの?ずっと待ってるんだよ、知樹が迎えに来てくれるの」

「ピアノは…高2で辞めたって言っただろ」

「なんで?あんなに好きだったのに?毎日私に得意げに弾いてみせてたのに!?」

「……才能なかったからな。所詮井の中の蛙だったって事に気づいて飽きちゃっただけだよ」

「嘘…嘘よ…とも君はピアノとっても上手で、すごく楽しそうに演奏してた…あの時の顔、今も覚えてる。辞めたなんて信じられない!」

「人は変わるんだよ…梨子」

知樹は何もかもを諦めたようにかぶりを振った。

もうここにいたくない。私が知っているはずの知樹はどこか遠いところへ行ってしまった。ここにいるのは私が知らない別の誰かだ。彼と人生のレーンが交わる事はもう一生来ない。
限界を迎えた私は部屋を出て行こうと、自分の手荷物を持ってドアに向かってかけだした。

「待ってくれ!」

彼は私の右腕を強く掴む。私は「離して!」と叫びながら振りほどこうと体全体でもがいた。気持ちが全くないのに、この人はどうして私を引き留める?何度も体を揺すっていると、急に力が緩んで私は前につんのめった。
何事かと彼の方を見ると、彼は自分の腕を抑え、痛そうに震えている。

「その腕、まさか…」

私は知樹に近づく。呼吸を乱しながら腕をさすっている彼の手を取り、腕の内側を見る。手のひらサイズの手術跡がそこには残っていた。

「………………ごめん」何を言われるよりも先に、知樹は謝ってきた。

「やっぱり…『飽きた』なんで嘘だったのね。その傷のせいなのね?」

「ああ…高校の時、交通事故で両腕がぐちゃぐちゃになった。今はもう日常生活に支障はないけど、激しい運動や細かい動きは出来なくなった」

「正直に言ってくれれば良かったのに」

「言えるわけないだろ?唯一の君との約束を果たせなかったんだ。俺は情けない男だ」

「…そんなことないよ?」うなだれる彼の頭を、私はそっと包み込んだ。

落ち着いた私たちは2人並んでベッドに横になる。知樹はまだ遠慮があるのかすぐに背中を向けた。

「ねえ、もう変なコトしないからさ。背中に触れてて良い?」

今日だけだから、せめてこれだけは許して欲しい。
知樹は背を向けたまま何も言わない。私の指先が彼の背中にそっと触れる。何も言わない。腕を引き寄せる。何も言わない。ついに広い背中全てを抱きしめても、何も言わない。
その沈黙が、とても嬉しい。顔を埋めて、深い呼吸をすると男らしい良い匂いがした。
羨ましいなぁ…奥さん。こんな素敵な人と毎日一緒だなんて。どうして喧嘩なんかしたんだろう?次に大喧嘩したら今度こそ私が奪っちゃおうかな。お子さんもきっと可愛らしいんだろうなぁ…そういえば性別聞いてなかったな。地元に帰ったときに会わせてくれるかな?

…ああ、この人の家族はどんな人生を歩むのだろう。どんな幸せを築くんだろう。どんな困難を乗り越えるんだろう。私の想いはしばらく消えないと思うけど、せめてこの人達の幸せだけは願い続けよう。そしていつかは、私も誰かとその幸せを掴めるようにしよう。

 

だから今日だけは…。

 

いつの間にか、彼の背中はぐしょぐしょに濡れていた。

 


夜明け前、始発電車が出る頃に私はホテルを出た。彼に気づかれないようにこっそりと、一枚の手紙を残して。


  知樹さんへ


   こんな別れ方でごめんなさい。
  
   直接だとまともな顔で終われる自信がないから、挨拶もせず出て行くことにしました。

   思えば今日偶然会えたのは、初恋の残り香を完全に消すチャンスを、神様が与えてくれたのかも知れません。

   色々と叶わないことばかりで辛かったけど、貴方は貴方の道を歩んでいるということがよくわかりました。

   私ももう貴方の影を追うことなく、新しい人を見つけたいと思います。

   奥さんとお子さんと、末永く幸せでいてください。


   あ、私が地元に帰ったら、飲みに行くくらいはしてよね?



   じゃあサヨナラ、一番好きだった人。

                                              小倉 梨子